6年間正社員で働いた会社を退職し、1年間のイギリス語学留学に行った私ですが、帰国後すぐには就職できませんでした。
そして、結果から話しますと、とうとう正社員になることはできず、アルバイト→非常勤嘱託員→契約嘱託員→派遣社員という流れでコツコツと働く事になりました。その間約12年ほどです。
今回は、帰国後の私の就職活動と今だからわかる反省点をご紹介します。
帰国直後の英語レベル
私の場合は実家暮らしでしたので、慌てて就職活動する事もないだろうと思い、しばらくはゆったりした気持ちでいました。
一通り会いたい友達にも会って、落ち着いてきたので「英語を使える仕事をしよう!」と英語に関係した求人を見ていました。
ところが、自分が勉強してきた一般英語とビジネス英語は違います。また、たったの1年間の語学留学では、英語で仕事ができるほどのレベルに達してはいなかった事に気がつきました。
帰国直後の私の英語レベルは、Cambridge First Certificate in English 合格、IELTS スコア6、TOEIC 730点というものでした。英検で言えば、準1級レベルに相当するとの事でしたが、英検はどうしても苦手で受験していても準1級に合格できていたかどうかは自信が無い、というレベルでした。
それでも、語学留学費用が全部で450万円ほどがかかったので、「絶対に英語を使った仕事をしなければならない。」と思い込んでいました。
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帰国後の就職活動 2社に応募
ようやく、私の英語レベルでも働けそうな所を見つけ応募しました。
画廊
1つ目は画廊でした。私は絵画鑑賞が好きで、費用があればイギリスの大学で「History of Art」を勉強してみたい、と思っていたほどだったのです。その画廊は海外との取引もあり、英語の文書が読める事が必然でした。
面接では、実際の取引文書を読んで訳す、という事をしました。何となくわかるけれど、やっぱりわからない。という状態でしたので、当然不採用となりました。
留学エージェント
次に、自分が留学する時にも留学エージェントにお世話になったので、自分もそういう立場になれば経験が役立ち、英語も使えると思い、ある小さな留学エージェントに面接に行きました。
あまり期待していなかったのですが、採用され、嬉しくてそこで働いてみる事にしました。私と一緒にもう1人、アメリカからの帰国子女が採用されていました。
社長と社員が2人の全部で3人のエージェントでした。人間関係はうまくいっていたのですが、仕事の内容に難しさを感じました。
私が留学したのは、イギリスのケンブリッジだけど、留学の相談に来る人は、アメリカ、オーストラリアやニュージーランドなど多岐にわたります。行った事のない国の相談をされてもわからない、というのが正直な気持ちでした。
それに、エージェントは留学の申し込み代行が売り上げになるので、3人分のお給料や事務所の維持費などの為には、相当な人数に申し込みしてもらわないといけないという事がわかりました。
相談に来た人には、その後電話をしてセールスをしなければなりませんでした。仕事をしていてもワクワクする気持ちが全くなく、辛くなってきました。
- 売り上げを気にしなければならない
- セールスをしなければならない
- 本当はわからないのに相談に来た人の前では知っているふりをしなければならない
というのが、自分と合わないと思い、1ヶ月〜2ヶ月働いた後、辞めることにしました。
理想と現実のギャップでひきこもりになる
その後求人は見るけれど、自分の英語のレベルでは応募する所がないし、応募してもどうせ採用されない、という負のループにはまってしまいました。
また、就職活動には電車代など結構お金もかかります。健康保険は親の扶養でしたが、国民年金の支払いもあって、これからどうしたらよいのだろうか、と悩み始めました。
意気揚々と語学留学に行って、これからの自分に大きな期待で帰国したけれど、就職はうまくいかず、貯蓄もどんどん減っていき、自分の期待と現実があまりにも違いすぎて、数ヶ月間家で引きこもる、という事になってしまいました。
留学仲間からは、「一体どうしたの?何でもいいから働くのよ。」と、アドバイスをもらいましたが、どうしても英語を使った仕事をしなければならないと思っていて、なかなか一歩が踏み出せずにいる状態でした。
この時は、自分が手放したものの大きさ(正社員で働いていた会社を退職したこと)を感じました。
アルバイトを始める
さて、私には小学校1年生の時からの友達が近所に住んでいました。その頃その友達は税理士資格を取る為に、2つ目の大学院に通っている時でした(28歳頃)
ひきこもりの私の家に来てはよく励ましてくれていたのですが、ある時自分がデパートのお歳暮のバイトに行くけど一緒にどうか、と誘ってくれたのです。年末の1カ月間ほどの短期バイトです。
すっかり自信もなくして社会に出るのが怖くなっていた私ですが、人前に出なくてもよい裏方の仕事であるということや、友達と一緒に働ける安心感もあって行く事にしました。
結局それが功を奏して、自分で働いていくことの楽しさや、他の人との関わりなど、社会での勘が少し戻ってきたのを感じました。
また、留学後貯蓄が底をつきかけていたので、お給料を頂けた事がすごく嬉しかった事もよく覚えています。
ですが、一旦自信を失って引きこもってしまうと、毎日フルタイムで働きに行く、という事ができなくなるものですね。とりあえず、ハードルを低くして、月に10日間ほど行けばよい作業のバイトも見つけました。
この時は、お中元・お歳暮時期のデパートのバイトと、月に10日間ほど行けばよい作業のバイト、二つを掛け持ちする生活でした。
通う所があるというだけで、少しずつ自信を取り戻していったようです。社会復帰へのリハビリとして、作業系のバイトは丁度良かったように思います。
しかし、30歳前の女子が結婚も就職もせず、2つのバイトを掛け持ちしている生活から、そろそろ脱したい、と自然に思うようになりました。
図書館司書資格を取る
バイトを始めた事で、停滞していた自分の中の色々なものが動き始めたようでした。時間のある今の内に、語学留学以外にもう一つしたかった事、「図書館司書資格」を取ろうと思いました。
図書館司書資格を大学で取得しなかった場合は、司書講座に3カ月間通って単位を取得しなければなりません。
バイトは作業のバイト1本にし、3カ月間司書講座に通って無事資格を取得する事ができました。
そうすると、私が住んでる自治体の広報に公共図書館のアルバイト募集が掲載されており、このバイトも始める事にしました。
ですが結局は相変わらずのバイト生活で、図書館のバイト(殆どが配架)と作業のバイトの二つの掛け持ちでした。
この時の自分の気持ちとしては、落ち着いて一箇所でフルタイムで働きたい、というものでしたのでかなり焦っていました。
- ある程度仕事をまかせてもらえる所
- フルタイムで働ける所
- セールスをしなくてよい仕事
- 売り上げを気にしなくてよい仕事
自分の性格を考えて、上記のような希望がありました。
そんな時、近くの公立大学の図書館で非常勤の司書を募集している事を知りました。募集要項には「英語」の必要性は何も書いていませんでしたが、その時は英語を使った仕事に対する執着はもうありませんでしたので、応募してみることにしました。
そして、採用されたのです。
大学図書館で働く
非常勤嘱託員でしたが、ようやく落ち着いてフルタイムで働ける場所を見つけました。
非常勤嘱託員なので、年収は低く1年毎の更新でした。それでもその時の私には社会保障もあるし、本当にやっと居場所を見つけたような、そんな気持ちでした。
大学図書館という場所なので、セールスや売り上げを気にする必要がなく、私の希望通りの職場でした。
26歳で正社員で働いていた会社を辞めて、27歳で語学留学し、28歳で帰国。その後、就職活動→引きこもり→バイトの生活があり、30歳でやっとほんの少し元に戻れたような気持ちでした。
図書館の仕事を始めてみると、意外に英語を使う機会がありました。様々な国からの勉強熱心な留学生がおり、英語で話しかけてくるので、英語で案内することがありました。
図書室内の案内を英語で作ったり、また、日本にない文献を外国の図書館に英語で問い合わせたりという事もあり、自分の英語のレベルで丁度よい仕事内容でした。
採用を決めてくれた職員の方に、後日何故私が採用されたのかを聞いてみたところ、
- 正社員として社会人経験が数年間あること
- 大学に留学生が増えて、英語が話せる職員が必要だったこと
という事でした。もし、語学留学していなければ、不採用の可能性もあったかと思うと、語学留学していて本当に良かったと思いました。これまでの自分がしてきた全ての要素が集まってやっと1つになった、と感じました。
大学図書館の仕事は、一緒に働いた方々の助けもあって、雇用形態は色々と変わりましたが、その後10年間続きました。正職員にはなれませんでしたが、自分に合っていて仕事内容もとても充実していました。「仕事が楽しい」と思える満足した日々を送る事ができたと思っています。
反省点
私の留学後の就職活動を紹介しました。留学前は、留学することで気持ちが精一杯で、帰国後は「英語も多少は話せるようになっているし、なんとかなるだろう。」と軽く考えていました。
実際は、自分が考えていたよりも社会復帰は大変でした。その原因として、
- 英語を使った仕事につこう、とこだわり過ぎた。
- 英語を使った仕事をするほどの英語力が無かった。
- ビジネス英語を習っていなかった。
- 求人ばかり見て理由をつけて応募しなかった。
- 英語を使ってどんな仕事をしたいのか、という部分が曖昧だった。
- 貯蓄が底をつきかけていて、就職活動に集中しにくかった。
英語を使った仕事につこう、とこだわり過ぎた為に、時間ばかりが過ぎていきました。
また、英語を使ってこんな仕事をしてみたい、というビジョンが全くありませんでした。その為、求人を見てもピンとこずになかなか応募をしない、という日々になっていました。
最後に
留学する前から、帰国後の就職活動の事をあれこれと考えていたのでは、「就職できなかったらどうしよう」など不安な気持ちになる事もあると思います。しかし、そこばかり考えているとせっかくの留学する機会を逃してしまうことになりかねません。
私の記事を読んで、「留学後の就職は難しそう・・・。」と感じてしまうかもしれませんが、これは良い例ではないと思います。
落ち着くまでに私が1番長くかかっており、他の社会人留学生達は、帰国後長くても半年までには社会復帰を果たしている人が沢山いますので、それはまた別の機会にご紹介させて頂こうと考えています。
帰国後の就職は、自分の行動にかかっていると感じます。私は求人を見ているだけで、あまり行動をしていませんでした。
この反省点を踏まえて、私が考える社会人留学生が帰国後の就職を成功させる為に、どういう行動をすればよいのかを続きで書いてみました。あくまでも私の考えですが、参考になれば幸いです。
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